所感:スプリングブレイクが終わって
- 2018.04.03
- 入学後
- MLB, NBA, NFL, NHL, Wasserman, ガルズ, ゲストスピーカー, ダックス, パドレス, プロジェクト, マーケティング, 会計, 入学後, 教授, 組織論, 統計学, 総括, 財務
昨日4/2で最初の長期休みが終わり、再スタートの日となりました。入学して約2か月半がたちましたが、これまでの授業やプロジェクト、学校の雰囲気など振り返りを『所感』という形で書きます。
【クラスメイトについて】
サンディエゴ州立大学のスポーツMBAでは、「Cohort(コーホート)」というシステムが取られています。これは「同じ学年の全員が同じ授業を同じタイミングで取る」という事を意味しており、またクラスメイトとの距離の近さ、結束の強さを意味すると思います。(※他大学では選択制の授業があったり、授業を取るタイミングがフレキシブルだったり、難しいと感じた授業を一旦落として別機会に取るという事ができるようですが、SDSUのSMBAではそれができません。)
クラスメイトの特徴面で言うと、今年度のクラスメイトにはプロフェッショナル経験(社会人経験)の無い人が28人のクラスメイトにたいして約1/3ほど居り、これは正直予想外でした。また社会人経験がある人の中でも1年や2年ほどしかない人も多数で、入学時点で29歳だった私は完全に年長組です。これはClass’18や’17(※学年は卒業年度で表現され、私たちはClass’19)に比べるとほとんど学部上がりの学生がいなかった代もあるそうで、代によって変わるみたいです。
しかしながら、学部上がりや社会人経験が少ない人達の中には、元パラリンピック選手で障がい者スポーツのNPO法人を立ち上げに向けて活動している起業家精神高い人や、地頭も勉強頭もキレッキレの天才が居たりと、ラクリッツ名誉教授がオリエンテーションで表現したように、どれがスポーツビジネス界に出て化けてもおかしくない学生が揃っているなと感じます。社会人経験者の中には公認会計士や、ボーイングのSCM担当で数ミリオンの交渉を担当していた者、大手PR会社で働いていてコミュニケーション能力に文章口頭ともに優れる者、南アフリカでジム経営やスポーツイベント経営をしていた者などがいます。
クラスの雰囲気としては、概ねみんな仲が良く、協調的でお互いがお互いを助け合う文化があります。勉強しかり、ネットワーキング機会の情報共有しかり。コーホートのスポーツMBAプログラムを選んで良かったなと思います。
【授業について】
今セメスターである春セメスターでは下記授業があります。それぞれコメントしたいと思います。
- 会計
- 財務
- 統計
- スポーツマーケティング
- 組織論
◇会計 FINANCIAL AND MANAGEMENT ACCOUNTING
David DeBoskey(以降デボスキー)教授が教えている授業で個人的には一番好きな授業です。デボスキー教授はCPAであり、MBAでもあり、KPMGやウォールストリートの金融関係企業での勤務経験を経てアカデミアの世界に入っており、授業では理論的な部分よりもそこから発展させて「実社会ではどういう事が起こるか」を考えさせることに重きを置かれています。理論的な部分はオンラインでの宿題や隔隔週ぐらいの頻度で行われるクイズ(小テストのこと)に備えることで勉強するのがスタイルです。彼がよく授業で言うのは「Accounting Magic」の話でこれまで過去に企業がどのようなクリエイティブな方法で不正会計を起こしてきたか、どの勘定科目にどのような柔軟性があるかについてとにかくシャープに反応できるようになってほしいといつも言っています。言い換えると「表面的な数字の理解」を教わっているのではなく、「数字をどう解釈するか」「どのような深堀余地があるかを発見できるか」というのを授業通じて教わっています。
◇財務 FINANCIAL MANAGEMENT
Frank Ryan教授が教えている授業で、一番難解で特に数学アレルギーを持っている人達にとっては、勉強が大変な授業です。ライアン教授はMBAであり、経済学修士であり、旧カメラフィルムメーカーKodakで働いていた経験があり、現在はサンディエゴのバイオ系ベンチャー企業のCFOもされています。デボスキー教授と同様、実用性に重きをなるべく置こうとされており、スポーツビジネスのニュースを財務的な視点で評価することを簡単に授業で扱ったりしていますが、MBAがMBAであるための必須科目で実用性のないものも教えなければならず、そのバランスに苦心されているようです。授業でも良く「この手法はこういう欠陥があるから使うべきではない」と言ったり、「公式を覚える必要はない、紙に書いて持ち込みOK。実社会ではエクセルが全てやってくれる。重要なのはどれをどの問題に使うを正しく把握することだ」と言ったりしています。
◇統計 STATISTICAL ANALYSIS
James Lackritz名誉教授が教えている授業で、この方はアカデミア一筋の方なのですが、SDSUの校風らしく、よく「実社会では難解な統計学用語を使わず、上司に自分の統計知識を駆使した仕事を説明できるようにする必要がある」と説いています。統計学自体は私も初めて取るのですが、授業では問題を一緒に解く機会を豊富に設けていただいており、かつ説明の仕方もユーモア、ジョーク交えた説明をするので、数学に苦手意識がある人でもついていきやすいスタイルになっていてとても有難いです。授業の最初は「スポーツ統計ニュース」で始まり、スポーツの記録で珍しいものを共有するところから始まります。ただレポートやプロジェクトワーク課題において、細かいルールが多く、文法など書き方にとても厳しい方なので留学生である我々のような人間はクラスメイトの協力必須です。
◇スポーツマーケティング SPORTS MARKETING
Vassilis Dalakas教授が教えている授業で、クラスの中では恐らく一番人気の授業でしょう。ダラカス教授はプレゼンテーションがめちゃくちゃ上手く、理論と実例が豊富で笑いも上手く交えて説明してくれるのでとても楽しい授業です。ダラカス教授は消費者行動論の専門家で、オレゴン大学卒、カリフォルニア州立大学サンマルコス校で教えている教授です。始めはスポンサーシップ(スポーツを通じたマーケティング)の授業で始まり、2か月が経った中間テスト前頃から、「なぜファンが試合観戦をするか」という「スポーツのマーケティング」に入りました。今後のブログ投稿では、授業で取り扱った面白事例を私の個人的な勉強の振り返りかねて投稿していきたいと思います。
◇組織論 ORGANIZATIONAL BEHAVIOR AND LEADERSHIP
Amy Randel 教授が教えている授業で、ディスカッションメインの授業です。ランデル教授はブラウン大学卒でコンサルティング会社などでの勤務経験があり、その後アカデミアに入られました。ディスカッションは宿題として課されているリーディングをベースに進行されるので、課題読物の内容をちゃんと理解している必要があります。クラスの性質柄、一番みんなの発言が活発になる授業で、取り扱っている内容も示唆に富むものが多く、100%正しい正解は無い、でもその中でどれが一番いいだろう、というものをみんなで考え共有しあう授業になっています。読書量は多いですが、授業の中で実際に取り扱った組織論をクラス内で試したりするなど、プラクティカルなものになっており、私は比較的好きな授業です。1か月前くらいからグループプロジェクトワークが始まり、実際の企業の従業員サーベイから問題の仮設を立て、検証し、コンサルティングするというものをしています。
【ゲストスピーカーについて】
SDSUのスポーツMBAを選んで良かったなと思える理由の一つにゲストスピーカーがあります。始まって約2か月半ですが、多い時には週に3回、ほぼ毎週誰かがスポーツ業界からゲストスピーカーとして上記授業の枠とは別枠で講義をしていただいています。元NFL選手で現在SDSUのアスレチックディパートメントでプレーヤーズディベロップメントをしているロナルド・ブラウンから彼が過去に一緒にプレーした一流選手やコーチのメンタリティ(トム・ブレイディ、ビル・ベリチック、フィリップ・リバースなど)、リーダーシップなどのエピソードを共有していただいたり、サンディエゴ・パドレスのCFOをしている女性から野球ビジネスの会計について、NBAの危機管理部門で働いている卒業生からお話しいただいたり、Wassermanというスポーツマーケティング会社で勤務しているSMBA卒業生からアドバイスをいただいたりネットワークの広さも深さもどちらもあり、情報収集、就職活動においてとてもいい人脈になる人達が選定されて招待されています。
【プロジェクトについて】
マーケティングであろうが、組織論であろうが、統計学であろうが、全てのプロジェクトにおいてこれまた「プラクティカリティ」が高く意識されているMBAプログラムだなと感じます。言い換えれば、プロジェクトワークをそのまま面接に持っていって、アピールできるような仕上がりになるようにとどの教授からも我々SDSUのスポーツMBAでは指導を受けます。
現在進行中のプロジェクトでサンディエゴ・ガルズというアナハイム・ダックス傘下のマイナーリーグホッケーチームのスポンサーシップ・アクティベーションを提案するというものがありますが、その評価次第では、今後パワーポイントスライドを履歴書送付の際に同封しても全然良いなと感じます。
同プロジェクトでは実際にガルズのスポンサーシップ営業担当(SDSU SMBA卒業生)の人に最終的に提案して、良いと認められれば実際に採用されるので、それが実現できれば就職活動においてとても強力な武器になります。
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