東京西川の大谷広告、「反響」の効果を勘違い?
さて、今回の記事ではたまたま大谷翔平選手のYoutubeハイライトを見ていて気になったことで、スポーツマーケティングに関わることを書きます。
調べると三か月前の話題なので「今更?」みたいに思われるかもしれませんが、各記事の書き方を見ていると「ちょっとそれは違うんじゃないの・・・?」という捉え方をしている記事が多数だったので、あえてこの遅れたタイミングでも書きたいと思います。
前置きはそれぐらいにしておいて、議題にしたい広告の画像をまず貼りましょう。
ピンときますでしょうか?
では次に日本のスポーツメディアでの取り上げられ方を転載します。
大谷とともに米国ファンの注目を集めたのは、スタジアムのバックネット下に掲出された寝具メーカー「西川産業」(通称東京西川)の看板広告。テレビ中継で説明されるなど思わぬ反響に、昨年から大谷とサポート契約を結んでいる同社は大喜び。現在、海外展開はアジアのみだが、今後北米への進出を目指す大きなチャンスとみている。
大谷が投げる先には漢字で「東京西川」の4文字。米国では試合中から「あの文字は何だ?」と話題となった。ESPNのある記者は「大谷のスポンサーとして、今後このような広告が出されることになるだろう」とツイート。そのつぶやきに「どんな意味なんだ?」と返信が寄せられると、別の投稿者たちが「東はイースト」「京はキャピタル(首都)」「川はリバー」「会社らしいぞ」などとリアクションした。
(引用元:スポーツ報知)
大リーグ・エンゼルスの大谷翔平投手(23)が29日(日本時間30日)、開幕戦アスレチックス戦の初打席で安打を放った際、大谷とサポート契約を結ぶ寝具メーカー「東京西川」のネット裏日本語広告がSNS上で話題になった。抜群の宣伝効果となり「目立つ」などと書き込みが相次いだ。
敵地での開幕4連戦で出した広告は、中央部分が同社のロゴで固定されるが、左右両側は他社の広告とイニングごとに入れ替わる変動式。完全版広告だった2回表にタイミングよく初安打が飛び出し、同社担当者も「幸運でした」と喜んだ。大谷が初先発登板する4月1日(日本時間2日)も同じ広告で応援する。
(引用元:スポニチ)
・・・ピンときましたでしょうか?
私の意見を書きます。東京西川さん、英語の会社名か自社URLを載せましょうよ!
記事一つ目の画像には英語の宣伝文言はなかったので当初は日本人視聴者向けの広告だったのかもしれませんが、二つ目の画像の広告は、”The innovative bed that Ohtani chooses”(大谷が選ぶ革新的なベッド)と書いて明らかに、米国での拡販を目的としたマーケティングであることは間違いないと思うのですが、どこにもTokyo Nishikawa や URLがありません。
「全米が「何だ」」と騒いだのは、漢字が読めないからで当然です。その反響を作ったはいいですが、問題はその後アメリカ人が検索して商品に興味を持って、買う、のかという事です。あくまで「買う」という購買行動に結びつかなかったら、せっかくの反響がもったいないのではないでしょうか?これを「抜群の宣伝効果」と書いてしまうのは、う~んどうでしょう、と私は思います。
言い換えて、AIDMAの法則に乗っ取れば、Attentionで止まって、その後のInterestフェーズへ昇華させる誘導経路に欠ける様に思います。
“The innovative bed that Ohtani chooses”をググっても東京西川のサイトは出てきません。アマゾンの商品紹介ページも出てきません。
さらにもったいないなー、と思うのが、実はアメリカ人の間では布団はプチブームなのです。誰もが “Futon” を「フゥートーン」と発音して意味が通じるほど今は知名度が上がっています。毎日用に使っている人はまだそこまでいないと思いますが、来客用に使ったりしている人達はそれなりにいます。
誘導経路がしっかりしていたら1イニング3000万円の広告料金もアマゾン経由の売上で効率よく回収できていたのではないでしょうか。(実際の投資対効果の数字を知らないで書いてますが、やり方が勿体ないという話です)
皆さんのご意見もお待ちしています。
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