ドミニカ共和国研修旅行③経済・コミュニティ活動編
ドミニカ共和国研修旅行シリーズ最後は経済とコミュニティ活動についてです。
■ 経済
アルタグラシア編からも推察されるようにドミニカ共和国は貧しい発展途上国にカテゴライズされる国です。
今回の研修旅行ではバスで色々な都市を東奔西走しましたが、下の写真のように貧しい地域ではコンクリート剥き出しで屋根がない廃墟のような家も多く見かけました。
しかしながら世界銀行のデータで、ドミニカ共和国のGDPの規模および成長角度を他のカリブ諸国に比較すると、その発展は目覚ましいものがあります。
貧しい地域が点在する一方で下の写真のような、石畳のおしゃれな街並みがサントドミンゴにあったり、ビーチタウンが各地にはあり、観光資源豊富で中南米カリブ圏でかなりホットな国であるのは納得です。そういえば、WIFIレンタル会社のアメリカ支社で働いていたとき、ドミニカ共和国向けのWIFIレンタルニーズは12月、1月の冬のシーズン他の国に比べても大盛況でした。
旅行の後半でMLBとパートナーシップ提携している Banco De Leon 銀行の担当VPの講演を聞く機会があったのですが、やはりカリブ圏では高いGDP成長率を過去数年記録しているそうです。担当VP曰く定期預金の金利相場は9-14%くらいだそうで、とはいえまだまだプレミアムがかなり乗っかっているリスクの高い国だという事も分かりました。
■ コミュニティ活動
バンコ・デ・レオンとMLBのパートナーシップについてはCSR的側面があるのでコミュニティ活動の中に含めて少し触れ、その後学校として行ったコミュニティ活動を簡単にレポートしたいと思います。
□ バンコ・デ・レオン
過去700名超のドミニカ出身者がMLBにはいます。歴史的な傾向として選手らが Buscones (探し屋) と揶揄されるドミニカ国内の非公式代理人に子供のころから青田買いされ、40%近い高額な代理人手数料を支払う被害(?)にあったり、アカデミーと契約したばかりの少年選手が家族や親戚にたかられて本人の財務的によろしくない意思決定を行ってしまう問題がありました。
▲ Banco de LeonのJorge パートナーシップVP。ユーモア交えて説明してくれ、おもしろい講演だった。
このような問題の解決をMLBが解決すべくパートナーとなったのがバンコ・デ・レオン銀行でした。取組としては、MLBアカデミーと契約した少年選手の契約金振込先口座を一括斡旋し、これまでBusconesが一度受け取ってから選手にお金が渡る経路上の問題を防止。口約束で結んだと主張する Buscones の言い掛かりにも対処できるようにリーガルサービスの紹介も行うとのことでした。
また、選手向けにはフィナンシャルアドバイザリーを提供し、アカデミー生の5%しかMLBにたどり着かない現実をワークショップを通じて啓蒙し、選手生活を断念してもちゃんと生活ができるよう契約金の20%は最低でも貯金をすることを促し、また家族や親戚からたかられてもNOと言えるように練習もするとのことでした。
少しうがった見方をするかもしれませんが、MLBにとってはCSR的パートナーシップである事は間違いないと思いますが、バンコ・デ・レオンにとっては大型口座が毎年開設できて、CSRというよりもビジネス的にかなりオイシイ提携だなと思いました。(サービス業はソリューションを提供するのが当たり前なので、それを銀行がCSR活動の一環と言ってしまうのは少し違和感を感じた)
日本は発展途上国ではないのでそのまま直接同じような提携を適用するメリットはあまり選手には無いと思いますが、銀行側が何かしらの選手へのメリットを見いだせて、例えばNPBプロ野球選手の給与振込先を一括斡旋できるような取り組みができ、NPBがキックバックを貰う仕組みができれば良いパートナーシップになるかもしれません。
□ 現地交流
学校の現地交流の取組として、リトルリーグ訪問、学校訪問2校を行いました。ほぼ全員のクラスメイトが何かしらの寄贈をし、私は学校の図書館に英語会話の本を寄贈しました。
リトルリーグ訪問では、子供たちと一緒にキャッチボールしたりする機会がありました。ボール不足でリーグで使われていたボールもすごく傷んでいたので、このブログを読んだ将来のSMBA後輩たちへはボールの大量寄贈を是非お勧めしたいと思います。
▲ 仲良くなったヨハンセン君。ポジションピッチャー。1個しかなかったSDSUのお土産ボールをコッソリあげた。
■ 研修旅行総括
発展途上国への訪問がかなり久しぶりだった私にとっては、今回の経験は色々と考えさせられる機会となりました。今学期の選択プロジェクトでアルタグラシアの活動支援を選ぶことができますが、是非そうしたいと思っています。アパレル企業のCEOが数億円の年俸を貰っていて、それが仮に従業員搾取の劣悪な環境のもとの上に立ったサプライチェーンで生産されていて、私たちの消費活動がそれをサステイナブルにしてしまっているのであれば、生産活動、消費活動双方向で改善していかなければならないと思います。当ブログをたまたま読んだ日系アパレル関係企業、大学生協関係者でアルタグラシアのような取り組みにご興味のある方は是非コメント通じてお問い合わせください。
私の将来したいことにこのようなグローバルサプライチェーンで出てくる問題は直接的なかかわりは恐らくありませんが、今回の研修の趣旨通り、自分の意思決定の先にはどんな人がいてどんな影響を受けるのか留意して将来的に仕事をしていけたらと思いました。
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