春セメスター振り返り① 授業 教授編

春セメスター振り返り① 授業 教授編

更新が遅れましたが、5月18日の会計学のプロジェクトワーク提出を以て最初のセメスターである春セメスターが終了しました。

翌週の22日には夏セメスターが始まり、息をつく暇ほぼ無しのスケジュールですが、時間を取って春を振り返りたいと思います。

※中間地点での振り返りをお読みでない方はこちらを読んでから読み進めていただくと良いと思います。

所感:スプリングブレイクが終わって

 

 

【科目ごとの振り返り】

春学期の授業は次の授業がありました。顧客目線で率直にコメントしたいと思います。(どちらかというと辛口めです)

 

- 会計

こちらはKPMG出身デボスキー教授の教える授業でした。スプリングブレイクが終わって数週間後、会計学で一番楽しく実用的であろう管理会計の部分に突入しました。ROE、ROAなどのレシオ、損益分岐点分析、原価計算などをカバーするわけですが、会計のバックグラウンドがもともとない人間にとっては特に原価計算の部分は苦労するかと思います。簿記やっとけば良かったなと思いました。

デボスキー教授の教え方は会計手法の使い方よりもその数字の意味するところ、つまり解釈の部分に非常に重点を置くので、支社経営で四苦八苦していた経験のある私個人的にはありがたかったのですが、終わってみて振り返ると実際に授業の場以外で解読作業を行ったのは、期末プロジェクトの一回だけだったので、もっと細かいプロジェクトでいいからとにかく数をこなして色々な企業の財務諸表を見て経験を自分の見解についてフィードバックを受けるような機会が欲しかったなというのが正直な感想です。期末アンケートに同じことを書いたので来年度のクラスに意見が反映されたらいいなと思います。

 

- 財務

KODAK出身でMBA、経済学修士であるライアン教授の授業でした。発言数が多かった私はParticipation Grade(参加態度評価)で1位をいただくことができましたが、結構自信のあった期末テストの結果が振るわず、目指していたA評価には残念ながら届きませんでした。これは授業のアンケートでも書いたことなのですが、サンディエゴ州立大学スポーツMBAでは基本的にパソコン禁止ポリシーがあり、エクセルでやれば簡単に解ける問題も電卓を使わされてきたことには正直不満が残りました。現在価値将来価値など基礎的財務概念から始まり、株価、企業価値の評価、投資判断などの勉強で学期を締めくくりました。株の評価については、個人的に株取引を行っている事もあり、正攻法ではそうやるのか、と逆張り投資家の私は興味深く拝聴していました。計算インテンシブな授業なので最初からコツコツ知識を積み重ねるのがとても大事な授業でした。余談ですが、結構エクセルに近いことができる財務電卓 Texas Instruments BA2 Plus は重宝しましたのでエクセルがテストで使えない同じ境遇のMBA生は使う事をお勧めします。

なお、ライアン教授は昨年度の Faculty of the Year (学生によるベスト教授の投票)で1位に選ばれており、教え方自体は説明時の例えが上手いので分かりやすいです。秋学期にまたあるので楽しみです。

 

- 統計

名誉教授のラクリッツ教授が教える授業でした。回帰分析、適正サンプル数算出方法、信頼区間分析、カイ二乗検定などなど教えていただいたコンセプトはどれもすべて役立つものばかりで仕事界に復帰後も重宝する統計手法は多いと思います。こちらも残念だったのが、エクセルでやれば一瞬でできる計算を練習しなければならず、分析結果の解釈、解読の修練にはあまり時間が使われませんでした。エクセルが授業やテストで使えない分、グループプロジェクトのレポートで解釈解読を練習するという事になりますが、それぞれのコンセプトを使った解読力を測る機会は実質一度なので、誤った理解のままレポートを提出した者も多数おり、100点中60点台の評価を受けた人もそれなりにいました。中間の振り返りでも書きましたが、文法や形式にかなり細かい評価をされる方なので、個人レポート提出時はネイティブのクラスメイトの協力必須です。評価が細かい割に指示が不明瞭なレポート課題や評価に不満のあったレポートもいくつかありましたが、グループプロジェクト自体はスポーツビジネス事例に統計手法をフル活用する内容となっており、難しいですがやりがいがあり楽しかったなと思います。グループプロジェクトの内容一部紹介します。

① ペトコパーク売店待ち時間分析

ペトコパークの飲食店の待ち時間が顧客満足度に影響を及ぼすという仮定をもとに、「5分以上待たせたら割引キャンペーン」の導入是非についてサンプルデータをもとに論理立てるというもの。

② 新商品のヘルメット、何個生産し何個検品するか

ヘルメットメーカーである自分の企業がリトルリーグから新型ヘルメットのオーダー1000個を受注した。新型なだけにまだ検品業務体制が整っていないし、不良品が一定の割合で混じっている。納期までの短い限られた時間の中で、1000個の完全品を確実に届けるには、何個生産するべきかという課題。答え方としては、不良品率をベースに一切検品せずに1000個よりも余分に作ってそのうち1000個は統計学的にほぼ確実に完全品ですよという方針と、いやいや1000個検品する時間はないけどできる限り多く検品しましょうよというのがあり、どちらが正しいというわけでもなく、その結論に至るまでのロジックが問われました。

 

- 組織論

ランデル教授の授業でした。授業内容は組織マネジメント上、どれもとにかくためになるもので、事業規模を縮小しなければならない(=解雇/リストラ)ときにはマネージャーとしてどのような点に留意するべきかや、従業員のモチベーションを高めるためにはどうすればいいか、色々なタイプのリーダーシップについて、それぞれのコミュニケーション手法についてなど、授業の前に所定の記事を読み授業でディスカッションしました。グループプロジェクトでは、スポーツ系企業にインタビューをしてその企業の組織タイプ、リーダーシップ、戦略、ビジネスモデルを分析し、クラス内でプレゼンをした上でレポートに仕上げるというものでとてもやりがいを持って取り組む事ができました。私のグループではサンディエゴの地元スタートアップ企業で水中でも音楽が楽しめるという商品を販売している企業を扱いました。同企業はタイムリーにも主力商品の供給が途絶えてしまい、事業規模の縮小および、新商品開発をしなければならないステージにあったため、ストーリー性が高くプレゼンのウケは良かったです。

苦言を呈するとすれば、今年度この組織論の授業は期初からでなく期中から始まったため、1週間に2回3時間の授業があるという、もともと圧縮型のプログラムでこのクラスだけさらに圧縮させた形になりました。しかも毎度8時開始のこの授業は課題記事の内容を問う小クイズで始まるので記事を読んでいないとディスカッションに参加できないだけでなく成績に支障をきたすというプレッシャーがありました。このため、「明日ファイナンスのクイズがある」という日でも組織論のクイズのために平均3つの記事を読まなければならず、2時に寝て4時に起きるのが常態化するほど、組織論が始まった3月からタイムマネジメントが急激に難しくなったことはかなり不満でした。もともと社会人経験者がそこまで多くないというクラス構成のなか、ほぼ全員がクイズで良い点が取れさえすればいいという飛ばし読みっぷりだったので当然ディスカッションの深みは望んでいたほどありませんでした。いわゆるケーススタディのようにボトルネックを特定しにいくような読み方は、個人的にこの授業には相応しくないと思います。記事は全部ダウンロードしているので折を見て定期的に深く読み直したいと感じました。

 

- スポーツマーケティング

学期の後半からは、スポーツビジネスから少し距離を置いて消費者行動論にも触れ、一般的なマーケティングについても勉強する機会がありました。所感でも書きましたが、ダラカス教授はとにかく用意周到、プレゼン上手で、最初から最後飽きさせない、惹きつける授業で、授業自体の不満はありません。ただテストは論述3時間書きっぱなしなので留学生にとっては地獄です!授業内容についてはブログでこれから投稿していきますのでお楽しみに・・・。

 

 

以上、今回はこんな感じで。次の投稿では総括②として春学期に来たゲストスピーカーの紹介とコンディショナルステータスの結果について書きます。