スポーツマーケティング授業復習:スポンサーシップ編①

スポーツマーケティング授業復習:スポンサーシップ編①

授業復習シリーズでは主にスポーツビジネスに深くかかわってくる部分に範囲を絞って書きたいと思います。

今回はダラカス教授の第一回目授業の内容をノートをもとに振り返ります。

 

■ 「スポーツマーケティング」の種類/スポンサーシップとは

スポーツマーケティングという言葉をよく耳にするかと思いますが、パッと思いつくので次の三種類が思いつくのではないでしょうか。

  • 観戦を促すマーケティング
  • 競技参加を促すマーケティング
  • スポーツアパレルなどのプロダクトのマーケティング

さてここでスポンサーシップ編のメイントピックですが、ではスポンサーシップは何なのでしょうか。

スポンサーシップとは「スポーツを”通じた”マーケティング」であると言えるでしょう。

 

■ スポーツを通じたマーケティング① アラインメントマーケティング

上図のように、マクドナルドはNFLというスポーツを”通じて”マーケティングを行っているわけです。

このような手法を「アラインメントマーケティング (Alignment Marketing)」と呼び、マクドナルドはマクドナルドのプロダクトであるバーガーそのものを宣伝するのではなく、マクドナルドという「ブランド」をマクドナルドがリーチしたいターゲット層であるNFLファンが関心を寄せるNFLという「プロパティ」と繋げて、マーケティングのゴールを達成するという事です。

※プロパティとは、宣伝の媒体となるスポーツ、リーグ、チーム、選手のことを差します。上記事例ではNFLがプロパティにあたります

■ スポーツを通じたマーケティング② エンドースメント

狭義ではスポンサーシップとは区別されますが、プロパティがスポーツ選手の場合、そのスポンサーシップは「エンドースメント(endorsement)」と呼ばれます。

ポイントは下記です。

  • ブランドが選手を広告やプロモーションなどで使う権利を買う事
  • エンドースメントおよび本人の許可無く選手の名前を使用することは違法
  • 似顔絵などのイメージも同様
  • 契約はブランドと選手本人の間で結ばれる

▲アンダーアーマーとステフェン・カリーの間で結ばれているエンドースメントによる広告

 

■ スポーツを通じたマーケティング③ ライセンシング

エンドースメントと似ているが違うものにライセンシングがあります。ライセンシングとはスポーツ選手をあくまで「プロダクト」に使用することであり、カリーの事例のように広告に使うものには使われない言葉です。下の画像を見れば分かりやすいでしょう。

これは、ペイトリオッツのQB、トム・ブレイディのレゴですね。レゴはプロダクトであり広告ではありません。よってこれはライセンシングという事になります。

もう一つお金面での重要な違いがあります。ライセンシング契約はエンドースメントと違い、NFLPA(NFL選手会)が一括で斡旋しています。ライセンシング収益は、ブレイディのようなスタープレイヤーであろうが、ずっとベンチにいる3本目QBでレゴ化されていない選手であろうが、均等に分配されます。

例外として、マイケル・ジョーダンやバリー・ボンズが挙げられますが、彼らは選手会に属さずだったのでロイヤリティ収益を独占していました。

 

■ スポンサーシップの定義

ここで一旦話を戻しましょう。スポンサーシップの定義とは何でしょうか。ダラカス教授は下記のように説明しました。

「ブランドが商業的な利益の見返りを求めて、プロパティに金や物品などの寄与を行う事」だそうです。

ポイントは「スポンサーシップ」とは、見返りを求めない慈善事業や寄付ではないという事です。

 

■ 寄与の種類

主に3つあります。金、スポーツ用具(アパレルなど)、プロダクトです。

金はそのままなので説明不要として、スポーツ用具とプロダクトの違いを説明します。

スポーツ用具寄与は例えばナイキがよくやるそうですが、アラバマ大学フットボール部にナイキブランドの靴やグローブなどを提供することです。テレビ露出のチームに用具提供を行えば、それだけで宣伝効果の見返りがあるというわけですね。

プロダクトの提供とは、スポーツブランドでない企業がその企業のサービスやプロダクトを提供するというものです。授業で取り扱われた興味深いものに、ルフトハンザ航空のサッカーチームへのスポンサーがありましたが、選手やコーチのみならず、チームのスタッフや運営会社の社員に対して無料でフライトを提供するというものがありました。